エーテルとハイデリンに関する一試論


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■本稿の構成
1.エーテル学のすすめ
2.エーテル学概説
(1)エーテル=生命の源=命=星の血液
(2)エーテル=魔力(魔法の原動力)
(3)エーテルには六大元素の属性が宿っている
(4)結晶化したエーテル=クリスタル
3.エーテル学概説(補論)
(1)エーテル=魂
(2)エーテル=モンクの「気」
4.エーテル学試論:光の戦士、ハイデリンのテンパード説
(1)惑星ハイデリンと光の意思ハイデリン
(2)光と闇
(3)蛮神の召喚とテンパードについて
(4)光の戦士=光の意思ハイデリンのテンパード?
(5)蛮神のテンパード化への耐性と召喚士問題
(6)クリスタル摂取の弊害
(7)精霊とハイデリンの類似性

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1.エーテル学のすすめ
 FF14をプレイしていて「エーテル」の名前を耳にしないことはない。ここでいう「エーテル」とは、FFシリーズで有名なMPを回復する「エーテル」ではない。FF14で使用する所のエーテルとは「すべての命の源であり、魔法の原動力ともなる一種の生命エネルギー」のことを意味する。このエーテルについて理解が深まると、FF14の世界は今以上の深みを見せ始める。
 本稿ではまず、FF14で使用されるエーテル(学)について簡単に説明し、その後エーテルに関する試論を展開したい。本来、科学的な学問であれば、裏付けを伴う確定的な事実の積み重ねをもって論を展開することが求められるが、ここではあくまで趣味の域を超えないもの、筆者(kaede)の推論と妄想を絡めた似非論文であることをことわっておく。
 また、本稿の考察には『Encyclopedia Eorzea』(スクウェア・エニックス、2016年)の存在が欠かせない。本書は、エオルゼアに生き、エオルゼアを愛するすべての人々に向け、幾千の神話と歴史、そして知の数々を伝えるべく著された書物である。筆者も本書からは多大な刺激を受け、熱い衝動を何らかの文章としてまとめないといられない衝動に駆られた。また、推論の元となる情報も本書によるところが大きい。本書はスクウェア・エニックス執筆・監修の公式本であり、本書以上に信頼に足る資料は他にはないだろう。本稿を読んで少しでもFF14の世界観に興味を持った方がおられれば、是非とも本書を購入していただきたい。FF14の世界観に少しでも興味があるプレイヤーならば、間違いなく満足に足る内容となっている。

2.エーテル学概説
 『Encyclopedia Eorzea』(以下、EEと略称、引用の際は①と表記)によると、エーテルについての理解がないといかなる学問も修めることはできないという。筆者は、エオルゼアの歴史について興味を持っている一学者であるが(そういうRPをしています)、その歴史をいざ研究しようとしても全ての学問の土台たるエーテルについての知識がなければ、研究としてそもそも成り立たないのである。ここでは『EE』の「エーテル学の基礎知識」から本稿の考察に必要な重要な点のみを簡単に紹介しておく。この基礎知識が、この後に展開する試論の大前提となる。

(1)エーテル=生命の源=命=星の血液
 人も獣も樹木でさえもすべての命はその存在の内側にエーテルと呼ばれる生命エネルギーを宿している。つまり、命とエーテルはほぼ同義の存在である。そして、このエーテルは我々が暮らしている星そのものにも流れている(地脈や風脈など)。そのため、エーテルは「星の血液」と称される(①8頁)。
『EE』ではここまでの解説にとどまっているが、特に重要となるのは後者の「星の血液」という指摘であろう。ここでいう星とは「惑星ハイデリン」のことであり、エーテルとは「惑星ハイデリンの血液」であり、人や獣や樹木は言うに及ばず惑星ハイデリンにとってもエーテルは無くてはならないものなのである。

(2)エーテル=魔力(魔法の原動力)
 魔法とは生命エネルギーであるエーテルを用いて超常の現象を生じさせる技術である(①8頁)。すべての魔法がエーテルを原動力にしている(幻術、呪術、巴術など)。

(3)エーテルには六大元素の属性が宿っている
 六大元素とは、火、風、雷、水、氷、土である(①9頁)。エーテルに元素が宿っているからこそ、エーテルを利用する魔法にも属性が出現する(ファイア、ブリザド、サンダーなど)。

(4)結晶化したエーテル=クリスタル
 エーテルを宿した生物が死亡すると、体内の属性バランスが崩壊し、優性な属性が結晶化することがある。何らかの理由で結晶化したエーテルを「クリスタル」と呼ぶ。クリスタルは生命エネルギーの塊で、純度が高く属性に偏りが生じていることが多いため、無理に摂取すると命に関わる事態になる(①10頁)。ちなみに、惑星「ハイデリン」の中枢には、「マザークリスタル」という巨大なクリスタル魂が存在している。推論となるが、エーテルが「血液」なのだとすれば、そのエーテルの結晶化たるクリスタルは「心臓」なのではないか。心臓と血液を有している惑星ハイデリンは生命体であるとの仮説も立てられる。事実、エオルゼアの過激な学者の中には、地脈や風脈を通じて生命エネルギーであるエーテルを巡らせている惑星「ハイデリン」は体内にエーテルを宿している点から考えて、一種の巨大生命体と言えるのではないかと主張する者もいる(①11頁)。この仮説は筆者一人の意見ではないということだ。

3.エーテル学概説(補論)
 以上、『EE』の「エーテル学の基礎知識」で解説されていた内容を簡単にまとめた。一方で、「エーテル学の基礎知識」で解説されてないエーテル知識についても、本書の所々で散りばめられている。その点もここでまとめておこう。

(1)エーテル=魂
 これは状況証拠による推論としても、かなり有力であると考えられる。
例えば、ムーンブリダの事例が象徴的であろう。『EE』ではムーンブリダの最期を「自身の命を犠牲に、その魂のエーテルを刃へと与えた(①64頁)」と記述しており、「魂=エーテル」が読み取れる。また、シヴァと聖竜フレースヴェルグとの悲劇も同様である。『EE』では「やがて時がふたりを別つという現実に苦悩したシヴァは、自らエーテルとなって聖竜の魂に寄り添うために、己を喰らってほしいと懇願(①67頁)」とある。「エーテルとなって魂に寄り添う」といった記述から、「エーテル=魂」の図式が読み取れるだろう。

(2)エーテル=モンクの「気」
 モンクのジョブ紹介頁におけるチャクラの解説に「体内を巡るエーテル(気)の調整弁のこと(①221頁)」とあり、「エーテル=気」が読み取れる。2017年の拡張(紅蓮のリベレーター)において、このモンクの活躍が期待されるため、エーテルとの関係性は覚えておいて損はないだろう。

4.エーテル学試論:光の戦士、ハイデリンのテンパード説
 以上、基礎となるエーテル学について簡単に説明してきた。ここからは、エーテル学の基礎を土台に、妄想に近い試論を思うがままに書き記しておきたい。当たるも八卦当たらぬも八卦の心持ち(つまり深く考えない)で読んでいただきたい。

(1)惑星ハイデリンと光の意思ハイデリン
 最初に筆者の持論を紹介しておく必要がある。その持論とは、「惑星ハイデリン」と「光の意思ハイデリン」は厳密には違うものであるという捉え方である。
 前述したが、惑星ハイデリンを生命体として捉えるとすると、当然生命体である以上、意思を有していることになる。そして、惑星ハイデリンには二つの意思があると考えらえる。それが、「光の意思ハイデリン」と「闇の意思ゾディアーク」である。『EE』においても、明確に区別されて記述されているように見受けられる(①14頁)。「惑星ハイデリン」と「光の意思ハイデリン」、両者とも同じ「ハイデリン」の名が使用されているため、これがミスリードを誘発する。ハイデリンもゾディアークも両者とも惑星ハイデリンの意思であるという点は留意する必要があろう。
 そして、「光の戦士」とは「光の意思ハイデリン」の加護を受けた者であると考えられる。そして、光の戦士達の共通点は「いずれも「マザークリスタル」のビジョンを視ることで導かれ、その力の一部を「光のクリスタル」という形で託されている(①15頁)」という点である。ここで思い起こしておいて欲しいのが、クリスタルとはエーテルが結晶化したものであったということである。

(2)光と闇
 また、光の戦士達が託されたクリスタルに「光の」という修飾がついていることにも注目したい。エーテルに六大元素の属性が宿っていることは前述したが、そのエーテルの結晶化であるクリスタルも同様の属性が宿っている。しかしながら、「光」も「闇」も六属性ではなく、どのような位置づけとなるのかが疑問となる。
 ここで注目したいのが、創世の神話を記した書物『六属創世記』である(①9頁)。六大元素が成立した過程が記述されているが、ここに以下のような一節がある。

「揺るぎなき二つの支配」
雷も火も土も氷も水も風も
すべては霊の上にあり
すべては星の下にある
近いか遠いか ただそれだけ・・・


 さらに、『EE』では元素に対する「極性」という力が解説されている。星極性と霊極性と呼ばれるもので、前者の星極性に寄れば激しく活発な動的作用を生み出し、後者の霊極性によれば鎮まり静的な作用を生む(①9頁)。以上の二点を鑑みると、「星=光」、「霊=闇」と考えられないだろうか(星天と霊獄の信仰もこれを裏付ける)。そして、「揺るぎなき二つの支配」とあるように、光と闇は六属性の上位存在であることも読み取れる。
 ちなみに、この「星」と「霊」で思い起こされるのは、第七星暦などの「星」や、第七霊災などの「霊」であろう。霊災の影に闇の使徒「アシエン」ありと言われていたように、「霊=闇」は説得力がある。
 また、余談ではあるが、神学者達は第七霊災を「星極性」の霊災であると認定している(①14頁)。過去六度の霊災がそれぞれ六属性を象徴する厄災であったことからすべての厄災は終わると考えられていたわけであるが、六属性の他に「光」と「闇」という上位属性(?)があったわけである。そして、第七霊災が「星=光」極性の霊災であるならば、次の霊災(第八)は「霊=闇」極性の霊災となるのかもしれない。
 話を戻そう。つまり、エーテルに六属性があるのであれば、それらを支配する「光」と「闇」のエーテルも存在する。それらを結晶化したものが「光のクリスタル」であり「闇のクリスタル」なのだと考えられる。さらに言及するのであれば、光のエーテルとは光の意思(ハイデリン)が色濃く反映された惑星ハイデリンの血液であり、闇のエーテルとは闇の意思(ゾディアーク)が色濃く反映された惑星ハイデリンの血液とも考えられる。

(3)蛮神の召喚とテンパードについて
 前置きばかりが長くて申し訳ないが、本題に入る前に蛮神についても簡単に触れておく必要がある。「光の戦士、ハイデリンのテンパード説」を理論づけるためには、この点をおさえておくことが必要不可欠となる。
 蛮神(という呼称はガレマール帝国風の言い回しで近年一般的になったもの)の召喚は、クリスタルを捧げ、信仰心を糧にすることで「神」(エオルゼアの神については別稿)を呼びおろす。召喚された蛮神は、召喚した信者たちに対して「加護」を与えて、肉体や魔力を強化する。さらに信者ではない者に対して、「エーテル」を浴びせることで強制的に感化させ(祝福とも呼称)、「狂信者(テンパード)」に造り替えるという(①11頁)。ここで出てきた、「加護」「エーテル」「テンパード」に注目しておいて欲しい。
 また、蛮神召喚にクリスタルが必要であることは周知の事実であるが、これも本稿で何度も繰り返してきたことだが、クリスタルとはエーテルの結晶化である。蛮神の召喚には結局の所、エーテルが必要なのである。そして前述した通り、エーテルは「魂」でもある。つまり蛮神とは、信仰によって作り上げられた魂が顕現した存在とも考えられるのである。
 さらに余談であるが、妖異召喚も蛮神召喚と基本的には同様のものであると考えられる。妖異召喚は「妖異の魂だけを原初世界に招き、あらかじめ用意しておいた依り代に憑依させる必要がある(①296頁)」わけだが、これは憑依型蛮神のシヴァやナイツオブラウンドとの類似性を感じさせる。

(4)光の戦士=光の意思ハイデリンのテンパード?
 話を光の戦士に戻す。光のクリスタルを有している光の戦士達は何の影響も受けていないのだろうか。否、大きな影響を受けていることは我々自身がよく知っている。象徴的なのは、異能「超える力」である。例えば、言葉の壁を超える力。惑星ハイデリンの血液たるエーテルは万物の源でもあった。そのエーテルを結晶化したクリスタルを有している光の戦士だからこそ、万物の言葉を理解し、意思の疎通が図れるのである。
 そして光の意思であるハイデリンは、しばしば「超える力」の持ち主に対して接触を図ることがある。場合によっては、直接的に力を貸す場合もあり、例えば、強大な魔法攻撃をエーテルの障壁で防ぎ、命を救うといった現象である。これを「光の加護」と呼ぶ(①15頁)。
 ここで先ほどの蛮神について思い出してほしい。蛮神も召喚した信者たちに対して「加護」を与えて肉体や魔力を強化する。そして信者ではない者にはエーテルを浴びせることで「テンパード」にする。信者には「加護」、信者じゃない者には「テンパード化」……この事実から導き出されることは「光の加護」を受けている光の戦士たちは、すでに光の意思たるハイデリンの信者=テンパードになっているということである。ここも、ハイデリンの場合だけ「加護」と使用し、他の蛮神の場合には「テンパード」と使用することでミスリードが誘発されていると考えられる。誤解を恐れずに言えば、「加護=テンパード化」であると指摘できよう。すなわち、「イフリートのテンパード」は、「イフリートの加護を受けし者」と言い換えることができるのである。逆に言えば、「光の加護を受けし者」は「光の意思ハイデリンのテンパード」となる。幻竜ミドガルズオルムが光の戦士を呼称する際の「ハイデリンの使徒」もニュアンス的には信者に近い。そもそもテンパードという言葉自体に悪感情が強く込められているため、テンパード=悪のイメージが強いが、正義の反対は「また別の正義」という名言を我々は忘れてはならない。
 一方で、激しい敵愾心を糧に生まれた蛮神と、光の意思たるハイデリンの「加護」「テンパード化」には本質的な差があることも留意する必要があろう。そもそも論として、エーテルが万物の源であるならば、ヒトも獣人も樹木も蛮神も何もかもが惑星ハイデリンの一部であるわけだが、この議論からは何も生まれないので止めておく。

(5)蛮神のテンパード化への耐性と召喚士問題
 光の戦士が蛮神のテンパード化に耐えうるのは、すでに光の意思ハイデリンのテンパードであるからとも説明できる。また、そもそも蛮神は星の血液たるエーテルを使用して顕現している存在である。その星の意思たるハイデリンの加護の方に軍配が上がるのは当然であろう。
 テンパード化への耐性に関して興味深いのはジョブ「召喚士」の存在である。召喚士のテラフレアという攻撃魔法は「身に浴びたバハムートのエーテルが、発動の鍵となっている(①235頁)」のだという。このバハムートのエーテルというのは、蛮神が放つ特殊なエーテル(祝福)なのではないだろうか。ただ、光の戦士はバハムートのテンパードになることはない。それは前述した通り、ハイデリンの加護を受け、ハイデリンのテンパードと化しているからである。一方で、光の戦士でない者が召喚士となると、蛮神のテンパード化に耐えられないのではないか。第三星暦末期、召喚士は蛮神に心を汚染された者として、迫害の対象となっていったと言い伝えられているが(①324頁)、これはテンパード化の実例として捉えられるかもしれない。
※召喚士のトリスタン・ローウのジョブクエを確認する必要あり。

(6)クリスタル摂取の弊害
 エーテルの結晶化がクリスタルであるということは繰り返し述べてきたが、クリスタルの注意点として、「無理に摂れば、体内の属性バランスが崩壊し、命に関わる事態(①10頁)」に陥るという点があった。蒼天のイシュガルドにおけるヤ・シュトラの失明という後遺症が「地脈を彷徨った代償」であったことが思い出されよう。地脈とは、大地に流れるエーテルの奔流である。クリスタルの摂取というよりは、純度が高く属性に偏りが生じているエーテルの摂取が問題であることが指摘できる。
 蛮神のテンパード化に引き付けてこの点を考えると、「蛮神が放つ特殊なエーテル」の「特殊」とは、属性に偏りが生じているエーテルのことを意味しているのではないだろうか(イフリートなら火、タイタンなら土)。そもそも属性に偏りが生じているクリスタルを媒介にしている時点で、その蛮神を構成するエーテルが偏っていることは当然といえば当然である。
 では、光のクリスタルを有している光の戦士はどうなのか。彼ら・彼女らの身体や精神に異常はないのか。問題となるのはクリスタルだけではない。蒼天のイシュガルド終盤には、邪竜ニーズヘッグとの戦いにおいて、光の戦士は聖竜フレースヴェルグの目をその身体に取り込んでいた。云うまでもなく、竜の目とはエーテルの膨大な塊である。
 さらに光の戦士に対する不安を掻き立てるものとしては、魔航船ヴォイドアークに登場した妖異キュクレインの存在である。彼の妖異は「蛮神の力を封じた「聖石」によって、人知を超えた存在と化した英雄のなれの果て(①300頁)」だという。光の戦士達が人知を超えた存在か否かは我々自身がよく知る所である。ちなみに、聖石と聞くと、「白聖石」と「黒聖石」を我々は思い起こす。白聖石には闇の使徒アシエンを封じ込めることができる。白聖石を破壊するのではなく、使用するということも可能なのであろうか。

(7)精霊とハイデリンの類似性
 エーテルとエオルゼア世界の関係を考える上で、注目すべき存在が「精霊」である。
精霊とは、黒衣森に棲む霊的存在で、高純度なエーテル体である(①301頁)。この精霊と切り離せない存在がジョブ「白魔導士」である。例えば、白魔導士のヴェネディクションは術者の魔力を用いることなく、環境エーテル(自然環境に満ちているエーテルのことで、これが枯渇すると土地から生命を育む力が失われてしまう)を使用する。この環境エーテルを消費する白魔法は純然なエーテル体たる精霊にとって死活問題となる。
 ここで改めて想起されるのが、エーテルとは惑星ハイデリンの血液であるという点である。つまり、精霊とは惑星ハイデリンの一部であるといっても過言ではない。また、グリダニアにいる角尊はこの精霊の「意思」を感じ取り声を聞くことができるのだが、これはまさしくハイデリンと光の戦士の関係と同じである。角尊が精霊のエーテルの影響を受けていることは疑いないだろう。
 さて、ここで注目したいのは、ハイデリンと精霊の同一性である。惑星ハイデリンの一部ともいえる精霊の死活問題は、ハイデリンの死活問題でもあったのではないか。すなわちエーテル消費の問題である。惑星ハイデリンにとって、エーテルは己の血液であり、それがなくなることは死を意味する。始原の時、幻竜ミドガルズオルムが魔力(エーテル)の厳選たる銀泪湖を守護する契約をハイデリンと交わしたのも、ハイデリンにとってエーテルが何よりも大切であったことの証明であろう。
 また、これも推論に過ぎないが、様々な種族がハイデリンに生まれ人口が増えるにつれて、エーテル消費の増大も問題となったのではないか。象徴的なのが、第三星暦のアラグ帝国の台頭と戦火の拡大である。アラグの侵略と圧政に苦しむものがすがったのが蛮神であり、戦乱が激しさを増すほどに、その召喚の代償としえ大地のエーテルは大いに傷ついた。第六霊災もエーテルの枯渇が問題であった。
 エーテルの損傷は、すなわち惑星ハイデリンの損傷である。ここで仮説として浮上するのが、霊災とは人口を減らすための惑星ハイデリンの意図的な仕業なのではないか。ここで意図と述べたが、惑星ハイデリンの片翼たる闇の意思ゾディアークの意図であり仕業である。ゾディアークは光の意思ハイデリンによって月という形で封印されていたので、その使徒たるアシエンが実際には介入していたと考えられる。ゾディアークもまた惑星ハイデリンの意思であり、惑星ハイデリンを守る故の行動であったのでないか。正義の反対は「また別の正義」である。闇も光もバランスが必要なのである。これは、闇の戦士関連の話で明らかとなったが、闇が氾濫しても光が氾濫してもエーテルは消失するのである(①2214頁)。穿った見方をすれば、星暦も霊災も「光」と「闇」によって仕組まれた計画なのかもしれない。血液(エーテル)は循環させる必要があるのだ……衰亡と繁栄を繰り返すことで。
 以上の点は考えすぎにしても、光の意思ハイデリンを盲目的に信仰することには疑義を感じざるを得ない。「光」に対する狂信的な信仰は、名実ともに光の意思ハイデリンの「テンパード」となることに他ならない。

5.おわりに
 以上、『EE』を読んで興奮冷めやらぬ勢いのまま妄想を書きなぐってきた。その妄想が当たろうが当たるまいがそんなのはどうでもいい。ここまで妄想を膨らませられるFF14の世界観ってすごくね?!ただそれだけを伝えたかったのである。

史学者 kaede takagaki