【書評】スクウェア・エニックス『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア Eorzea World Report PATCH2.1 マップ/クエスト/コンテンツ編 (SE-MOOK)』



1.はじめに
 当記事を開いた方の頭にまず浮かんだであろう疑問は「攻略本の書評?」であろう。私もこれまで学術書の書評は何本か執筆してきたが、攻略本の書評は初めての試みである。当サイト『エオルゼア雑誌』は、お気づきの方はお気づきかもしれないが、某学問の学術雑誌及び学会の体裁をオマージュ(といえば聞こえがいいがただのパクリ)したものである。オマージュしたからには、その内容にもこだわりたいというのが、当書評執筆の第一の意図である。
 さて、本書『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア Eorzea World Report PATCH2.1 マップ/クエスト/コンテンツ編 (SE-MOOK)』は、その表題に表れているように、パッチ2.1段階までの攻略本であり、かつマップ・クエスト・コンテンツに焦点をあてた内容となっている。ジョブやアイテムについては、別冊で『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア Eorzea World Report PATCH2.1 クラス・ジョブ/アイテムデータ編 (SE-MOOK) 』(スクウェア・エニックス、2014年)が刊行されている。

2.本書の構成
 本書の構成は、以下の通りである。
1.都市/フィールド
2.クエスト
3.コンテンツ
 1章の「都市/フィールド」では、都市とフィールドのつながりが示され、スムーズな移動が行えるよう、視覚資料(図説・写真)を多く掲げながら目による理解をうながしている。本書が全頁カラーであることもその理解の一助となっている。パッチ2.1までのエオルゼア各都市のマップも詳細に掲載されており、固有名詞なども明記されている。注目すべき点は、各頁に散りばめられた「HotTopic」であろう。例えば、リムサ・ロミンサのページでは、「海洋都市に拠点を置くさまざまなギルド」という「Topic」が置かれ、「国に入港する船の監査を行なうメルヴァン税関公社は、巴術士ギルドとしての側面ももっている」などの細かい世界観設定にまでふれられているのは、FF14ファンには嬉しい内容である。このホットトピック以外にも、各地方の風俗や特徴など、短文ではあるが簡潔にまとめられ紹介されている。その他、章末には、ショップデータや地名インデックスなども掲載されている。
 2章の「クエスト」では、クエストの基本的な流れから、クエストの種類、見方、進め方などが示され、「メインクエスト」「クロニクルクエスト」「サブクエスト」「クラスクエスト」「ジョブクエスト」「蛮族クエスト」などの「受注」「報酬」「達成手順」などが解り易く整理されている。文章だけではわかりにくいクエストに関しては「Pickup!」で写真や図説で解説されており、便宜もしっかりと図られている。章末にはクエストインデックスも添付されている。
 3章の「コンテンツ」では、「ギルドリーブ」「グランドカンパニー」「トレジャーハント」「ダンジョン」「ギルドオーダー」「討伐・討滅戦」「ウルヴズジェイル」などについてのデータが網羅されている。初心者や中級者にとってありがたいのは「ダンジョン」「討伐・討滅戦」の項目である。敵の配置やギミック解説、ジョブごとの基本的な立ち回りなど、攻略に必要な情報が詳細に掲載されている。特に、図説の進行ルートや、ボスの立ち回りなどは、新米タンクにはありがたい配慮であるといえよう。「クリスタルタワー:古代の民の迷宮」や「大迷宮バハムート:邂逅編」については、別に項目立てられ、これらも同様に図説や写真つきで攻略情報が掲載されおり、便利である。

3.意義と課題
 本書の意義について、「2.本書の構成」でも少しふれたが、全ページカラーによる図説・写真解説の解り易さ、これにつきるであろう。FF14のプレイヤー全てがゲームに精通しているわけではない。本書の内容は、確かに初心者・中級者向けかもしれないが、初めてMMOに触れたという方には参考になる点も多い。
 一方で、この攻略本出版時にすでにエンドコンテンツ攻略済みのような中級者以上のプレイヤーにとっては本書はどのような意義を有するのか。Amazonの評価などを見ると、「webの攻略wikiで十分」「パッチ2.1までの情報しかないので今更積極的に買う必要はない」との評価も見られる。
 MMOの攻略本において、もっとも大きな問題点は、パッチによってゲーム自体がどんどん変化し、その時点での攻略本の価値がその都度低下していくという点であろう。例えば、2015年8月時点で、FF14は拡張版「蒼天のイシュガルド」が実装されているが、イシュガルドの情報は本書には全くもって掲載されていない。現時点でイシュガルドの情報を攻略本に求めようとするならば『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド 公式スターティングガイド (SE-MOOK)』(スクウェア・エニックス、2015年)を購入する他ない。
 では、本書はイシュガルド実装時の2015年において、全くの無価値なのだろうか。攻略という一点に関しては確かに価値は低いと考えらえる。ただし、「2.本書の構成」でも指摘したように、例えば各都市の風俗関係のトピックなどは、エオルゼア雑学としてその価値は未だ色あせてはいないだろう。攻略本は一種の娯楽本であり、そのようなおまけ要素(tips)に心踊らされる要素があることは疑いない。ただ、残念なのが、そのような世界観・設定を掘り下げるような内容が、あまり多くないという点であろう。世界観の掘り下げに関しては別途の方策を公式(運営)として考えているのかもしれないが(FF14のコミュニティ放送など)、本書のような公式の攻略本にそのような要素を散りばめておくことで、パッチ経過後も本書の価値を残存させることが可能となるのではないだろうか。攻略情報+付加価値で、購入した攻略本の価値を減じさせない、そのような点にも配慮すれば本書の意義はより高くなる。
 余談ではあるが、私の友人はドラクエ5や6の攻略本を未だ大事に持っている。何故かと聞くと、装備のページの「Hな下着」を装備した女性プレイヤーに少年時代お世話になりまくっていた(意味深)ので、思い入れが強く捨てるに捨てられないのだと。例えば、本書のような攻略本にも「NPCのパンチラ集(名付けて野パンチラ)」のような特集があれば、パッチ経過後もそれなりの売上をあげると思われるが、どうであろうか。
 その他、筆者の個人的な要望として、攻略本とはいえ、最初と最後に「はじめに」と「おわりに」ぐらいは盛り込んで欲しい。「はじめに」で公式がどのような意図で本書のような攻略本を刊行するに至ったのかの説明はあってしかるべきだと考える。本書の概要についてもそこで説明があれば、より初心者や中級者に寄り添った形になるだろう。また「おわりに」では編集後記のようなものがあってもよい。当然、ページ数との兼ね合いで省略していることが考えらえるが、楽屋話や攻略本担当者のインタビューなどのような内容であっても、FF14ファンは楽しみにしていると思われる。
 以上、本書の意義と課題を見て来たが、FF14の在り方を考える上でも有意義な示唆を与える一書である。本書はすでに多くのプレイヤー達に広く読まれてきたと思われるが、今一度本書を紐解き、当時を回顧するのもよいのではないか。F14関連の書籍がさらに充実することを願ってやまない。

スクウェア・エニックス『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア Eorzea World Report PATCH2.1 マップ/クエスト/コンテンツ編 (SE-MOOK)』
(2014年2月、スクウェア・エニックス、2376円(税込))